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MALAYSIA

満月が昇るとき 

ステージ 2 

ストーリー:ロティ・ショーヴェク 

翻訳・編集: 近藤結・CLAチーム 

イラストレーション:アニャ・マハラニ・クマラワテ

プロローグ 

カンポン・ブランは不思議な村です。そこに住む人々は、昼間に外出をしますが、夜になると決して外には出ません。ブラン村の人は全て、満月を怖がっています。この謎を調べた人たちは消えてしまいます。しかし、一人の男が謎の答えを見つけたのです。

Chapter 1

​​アリフが車に乗っていると、車が壊れてしまいました。アリフが困ってしまいました。すると、別の車が来て、目の前で止まりました。若い男と美しい女性が車から降りて、アリフの方に来ました。​ 

​​

「大丈夫ですか?」若い男は言いました。​ 

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アリフは、カンポン・ブランに行きたいのだが車が壊れてしまった、と答えました。​すると親切なことに、その女性がカンポン・ブランに一緒に行くのはどうかと聞きました。 

​​

「助けてくれてありがとうございます。僕はクアラルンプールから来たアリフです。」アリフは言いました。​ 

 

​​「僕はカマルです。彼女は妹のザーラです。僕たちはカンポン・ブランの村人です。なぜ僕たちの村に来るのですか?」カマルは聞きました。​ 

 

​​「僕は記者です。カンポン・ブランの謎を調べるために来ました」​とアリフは答えました。 

 

​​「記者? 生きて帰りたいのなら、ばかなことはしない方がいいですよ」​とカマルは言いました。 

​​ 

三人はカンポン・ブランに着きました。

Chapter 2

次の日、アリフは村を歩きました。​ 

​​「お兄さん! サテはどうですか? おいしいナシレマもありますよ!」と、鶏肉を焼きながら、おじさんが彼に話しかけました。​ 

​​「ありがとうございます。夜になると、人々は怖がって誰も外を歩かないと聞きました。でも、昼は人が多いですね」と、アリフは言いました。​ 

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​​「何を言っているんですか?」​とおじさんが答えました。 

 

アリフは村のことを知りたかったので、最近の出来事について質問しました。​「最近、事件があったと聞きました。森に行った男が、帰ってこないそうですね。」​ 

おじさんは急にあわてて小さな声で言いました。​「その話をしてはいけません! 話をしたら、彼女が来ますよ。」​ 

 

​​「彼女? それはどういう意味ですか?」アリフは聞きました。​ 

 

​​「ポンティアナック… 」と​彼は小さく言いました。 

 

​​「ポンティアナック?! 満月になると出てくる怪物ですか? 本気ですか!?」​ 

 

​​「静かに! 信じるかどうかはあなたの自由ですが、そうなんです。」​ 

 

​​「もし本当なら、どこで彼女を見つけられますか?」​ 

 

​​「ダメです! 探してはいけません!」​ 

 

​​「心配しないでください。僕に教えてくれたら、きっと謎を解いてみせます」​ 

 

​​「わかりました、いいでしょう。事件はだいたい丘の上にある家の近くで起きています。」​ 

 

​​「誰が住んでいるんですか?」​ 

 

​​「誰もいません。」​ 

 

​​事件のことを話し始めると、冷たい風が吹きました。空には満月が見えます。​ 

 

​​「もう行かなければ! あなたも早く帰った方がいいですよ!」 おじさんは真面目に言いました。​ 

 

​​「待ってください、どこへ行くんですか?」​ 

​​

アリフがまわりを見ると、そこに残っているのは彼だけでした。

Chapter 3

その日の夜、アリフは丘の上の古い家に行きました。家に近づくと、ザーラがいました。​ 

​​

「この時間に出かけると危ないですよ」とアリフは言いました。​ 

​​ 

ザーラはおどろいて答えました。​ 

 

​​「ああ、あなたですか。」​ 

 

​​「何をしているんですか?」アリフはザーラに聞きました。​ 

 

​​「月を見ていただけです」とザーラは温かく笑って答えました。​ 

 

​​「満月の夜は危ないのではないですか?」​ 

 

​​「それはただのウワサです。何回も夜にここに来ているけれど、全く安全です。」​ 

 

​​「よくここに来るのですか?」​とアリフは聞きました。 

 

​​「ここは私のおばあちゃんの家でした。子供の頃、兄と私はよくここに来て遊んでいました。」​ 

 

​​「良い話ですね。あのおじさん、嘘をついたんですね。ポンティアナックがこんなところにいるわけがないですよ!」​ 

 

​​突然、ザーラは笑うのをやめました。​ 

 

​​「どうしたんですか?」アリフは彼女の悲しい様子に気づいて聞きました。​ 

 

​​「村人の話を信じないでください。彼らは、わからないものを恐れています。全ては、あの事件のせいです。」ザーラは悲しそうに言いました。​ 

 

​​「事件?」​ 

 

​​「20年前のことです。私の祖母は魔女でした。私は兄と祖母とここに住んでいました。しかし、村人たちは祖母を恐れました。魔女だからです。ある日、村人たちが家に来ました。そして、祖母を捕まえました。祖母は何も悪いことをしていませんが、村人たちは信じませんでした。村人たちは祖母のケリスを取り上げました。祖母は怒りました。そして、村全体に呪いをかけました。『今後20年間、村は苦しむだろう。そして20年後には怪物が村に来てすべてを壊すだろう』と彼女は言いました。」ザーラは泣いていました。​ 

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​​「呪い?」アリフは言いました。​ 

​​「そうです。怪物が来て、すべてを壊します。次の祭りの日に。」​ 

​​「呪いを消すために、何かできることはありますか?」​ 

​​「そのためには祖母のケリスが必要です。しかし、ケリスが今どこにあるかわかりません。」​ 

​​ 

突然、カマルが現れました。​ 

 

​​「ザーラ、終わりましたよ…アリフ? 何をしているんですか?」と彼は言いました。​ 

 

​​アリフは答えました。「歩いていたら、君の妹に会ったんです。」​ 

 

​​「なるほど、でもこんな時間にこんなところにいてはいけませんよ。ザーラ、もう遅い。帰りましょう」​ 

​​ 

ザーラとカマルは帰りました。​ 

*******

​​次の日、アリフは村でカマルを見つけました。カマルは村人と話していました。アリフは隠れて二人の話を聞きました。​ 

​​

「全て準備ができました」と村人が言いました。​ 

 

​​「生け贄は?」とカマルが言いました。​ 

 

​​「捕まえて、準備できています。」​ 

 

​​「わかった。それでは私も始めましょう。」​ 

​​ 

それを聞いて、アリフはおどろきました。​ 

Chapter 4

祭りの日が来ました。ボモーは、村のためのお祈りが仕事です。彼の近くにはたくさんの人がいました。​

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​​「このココナッツの力で、次の年も畑が豊かになるように! 祝福します!」と、ボモーは大きな声で言いました。​ 

​​

「あなたに、呪いを消すことはできますか?」人々が帰った後、アリフはボモーに聞きました。​ 

 

​​「呪いを消すには、生け贄が必要です。」ボモーは答えました。​ 

 

​​「生け贄?」アリフは言いました。​ 

 

​​「生け贄は良いことではありません。しかし、必要なのです。」​ 

 

​​「ザーラの家のケリスがあれば…」​ 

 

​​「ケリス?」​ 

 

​​「ザーラの祖母が持っていた小さな剣のことです。ケリスがあれば、呪いを消すことができるかもしれません」​ 

​​ 

アリフがケリスの話をすると、ボモーはバッグの中を探しました。そして、一本の剣を出しました。​ 

 

​​「こんなケリスですか?」ボモーは聞きました。​ 

 

​​「なぜそれを持っているのですか?」アリフは言いました。​ 

 

​​「祖父からもらいました。」​ 

 

​​「これです! これがザーラの探していたケリスです! これをザーラにすぐ届けましょう!」​ 

 

​​「私たち?あなたは行くべきです。でも、私は行きません」​ 

 

​​「あなたの仕事はお祈りでしょう! 呪いの消し方、知ってますよね?」​ 

 

​​「私に特別な力はありません。ココナッツがあれば、村人たちは私にお金をくれるのです!」​ 

 

​​「これまでずっとウソをついていたんですね。一緒に来ないなら、あなたの秘密をみんなに言いますよ?」アリフはボモーをおどかしました。​ 

Chapter 5

​​祭りの日の夜でした。 

 

​アリフとボモーは山の上の家に行きました。すると、家の中から泣いている声が聞こえました。​ 

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家に入ると、サテのおじさんがいました。おじさんは誰かに捕まっていました。すると、足音が近づいてきました。アリフとボモーは素早く隠れました。 カマルとザーラが部屋に入ってきました。​ 

​​

「今夜こそ、ついに私たちが呪いを消すのです。この村人を生け贄すれば、呪いを消すことができます」と、カマルは言いました。​ 

​​

カマルはナイフを出して、サテおじさんの上で持ちました。​ 

 

​​「精霊よ、この生け贄で、私たち家族を許してください」カマルは大声で言いました。​ 

​​ 

アリフはとびだすと、カマルを止めました。​ 

 

​​「アリフ? 何をしているんですか!?」カマルは聞きました。​ 

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​​「こんなことをする必要はありません。あなたの必要なものを私たちが持っています。」アリフは答えました。​ 

​​ 

アリフはカマルにケリスを渡しました。カマルとザーラはおどろきました。​ 

 

​​「どこにあったんですか?」カマルは聞きました。​ 

 

​​「ボモーがずっと持っていたんです。誰も殺さなくてもいいんです!」アリフは言いました。​ 

​​「ダメです! それでも生け贄が必要です。満月が出るまでに時間がありません!」と、あわてたようにカマルは言いました。​ 

​​ 

カマルはケリスをおじさんの上で持ちました。​ 

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​​「やめてください!」アリフは大声を出しました​ 

​​ 

アリフがカマルを地面に倒すと、ボモーがカマルからケリスを取りました。​ 

 

​​「何をしてるんですか、アリフ!? 村全体を苦しめたいんですか!?」とカマルは言いました。​ 

 

​​「違います! 人を殺さない方法があるはずです!」アリフは説明しました。​ 

 

​​「離してください! 満月が昇る前に終わらせなければ!」​ 

​​ 

突然、ザーラの顔と目が白くなって、彼女は気を失いました。​ 

Chapter 6

​​「ザーラ!大丈夫ですか?」とアリフが聞きました。​ 

​​

「来ます。怪物です。村に帰ってください」とザーラは答えました。​ 

 

​​「どういうことですか?」​ 

 

​​「満月がのぼるとき、私は怪物になります。20年前、祖母は私にも呪いをかけました。私はポンティアナックになり、私たちを苦しめた人たちに仕返しをするのです。」​ 

 

​​「アリフ、ザーラを助けましょう。ザーラがポンティアナックになる前に、呪いを消しましょう!」カマルは言いました。​ 

​​ 

しかし、アリフはおじさんを逃しました。​ 

 

​​「何をしてるんですか!? ザーラとこの村がどうなってもいいんですか!?」カマルは大声を出しました。​ 

 

​​「どちらも助ける方法があるはずです。一緒に考えましょう!」アリフは答えました。​ 

​​ 

満月がのぼりました。ザーラの頬は青く、冷たくなりました。彼女の目が白くなり、ザーラはポンティアナックになりました。​ 

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ポンティアナックが動き出しました。ポンティアナックはカマルとボモーを倒しました。アリフはそれを見て、ケリスでポンティアナックを刺しました。​

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ザーラは倒れました。部屋は静かになりました。しかし、ザーラは生きていました。うまくいきました。ケリスが彼女を呼び戻したのです。​ 

​​

「アリフ? 何が…あったの…?」ザーラは聞きました。​ 

​​ 

ザーラは兄が倒れていることに気づきました。​ 

 

​​「大丈夫ですか!?」ザーラはあわてました。​ 

​​ 

カマルはザーラの大きな声で起きました。​ 

 

​​「村を助けてくれてありがとう!」とカマルが言いました。​ 

​​「ケリスが効いたのは運がよかっただけですよ」とアリフが答えました。​ 

 

​​「もうどうでもいいんだ! 20年前の呪いは消えた! ブラン村に神の祝福を!」とボモーが大きな声で嬉しそうに言いました。​ 

THE END

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